火災共済や火災保険の基本原則は、「偶発的な事故」に対する保障です。
経年劣化による水漏れは、建物や設備が時間の経過とともに自然に劣化することで発生するもので、いずれ起こることが予想できる「必然的な事象」と判断されます。
共済や保険は、「予期せぬ突発的な事故」に備える保障であり、時間の経過により必ず発生する現象は対象外となります。
建物の設備は、定期的な点検やメンテナンス、修繕・交換によって劣化による破損を防ぐことができます。
そのため、経年劣化で起こった水漏れは、適切な管理を怠ったものとして保障の対象外となるのです。
建物の築年数が進むと、水漏れ事故が経年劣化と判断されて保障の対象外となることも増えていきます。

自然現象によるもの

地震や台風などの自然災害に起因する水漏れは、火災共済の基本保障では対象外となります。
これらの災害による被害は、保険会社では別途、地震保険や風災・水災特約での対応が必要です。

設備不良や組立不良など設備の欠陥に起因するもの

建築時の施工不良や設備の初期不良による水漏れも保障対象外です。
新築物件で配管の接続不良があった場合や、設備メーカーの製造上の欠陥が原因の場合は、施工業者やメーカーの責任となります。

さびや腐蝕などに起因するもの

金属製の配管や設備がさびや腐蝕により破損した場合も、経年劣化と同様に保障対象外となります。
築年数が古いマンションでは、金属製配管の腐蝕による水漏れリスクが高くなっています。

小動物がかじったなど虫害に起因するもの

ネズミなどの小動物が配管をかじったことによる水漏れも、虫害として保障対象外です。
建物の維持管理において、害虫・害獣の駆除は所有者の責任とされています。

長年の使用による自然の消耗に起因するもの

給水管に生じた小さな穴や、配管接続部分のパッキンが劣化して発生する水漏れも対象外です。
これらは長年の使用により起こる自然の消耗として扱われ、定期的な点検とメンテナンスで予防できるものと考えられています。

共済金が支払われる水漏れとは？

共済金が支払われる水漏れは、「給排水設備に生じた不測かつ突発的な事故に伴う水漏れ」です。
具体的には以下のようなケースで保障されます。

・配管に何かが衝突して破損し、起こった水漏れ
・上階（他人の住居）からの水漏れ

例えば、洗面台下の露出した配管に物がぶつかって破損し、床が水浸しになった場合や、マンションの上階で水漏れが発生し、自分が住む下階の住戸に被害が及び、上階から賠償されなかった場合などが該当します。
これらの事故による建物や家財への損害は、火災共済で保障されます。

ただし、自宅で起きた水漏れの原因が経年劣化や管理不行き届きでないことが前提条件です。
保障される水漏れかどうかの判断は複雑で、原因の調査が必要です。

水漏れが発生した際は、速やかに横浜市民共済に連絡し、適切な対応について指示を仰ぎましょう。

火災共済の対象となる水漏れについては、以下のコラム「火災共済で保障される「水漏れによる損害」の対象とは？」で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

まとめ：経年劣化の水漏れは予測と予防ができるため火災共済で保障されない

経年劣化による水漏れは、火災共済の保障対象外です。

経年劣化は時間の経過とともに必ず起こる予測可能な現象であり、適切なメンテナンスなどで防げるため、「予期せぬ突発的な事故」に備える火災共済ではカバーされません。
また、地震や台風などの自然現象、設備の欠陥、さびや腐蝕、虫害による水漏れも同様に対象外です。

一方で、不測かつ突発的な事故による水漏れは保障の対象です。

水漏れ事故が共済で保障されるかどうかは、原因や状況によって判断が分かれます。
水漏れが発生した場合には、速やかに横浜市民共済に連絡し、適切な指示を仰ぎましょう。