火災の種類を詳しく!消火器の表記もチェック
2023年05月30日
皆さんこんにちは。横浜市民共済生活協同組合です。
火災の種類について考えたことはありますか?
火災といえば住宅など建物の火災をイメージする方が多いかと思いますが、山火事や自動車の炎上なども「火災」の中のひとつです。
火災は「どこで起きたか」「何が燃えたか」など複数の視点から種類分けされています。
火災の種類を知ることは、火災情報を正確に理解したり、消火器を正しく選んだりするための助けとなります。
今回は火災の種類や、それぞれの特徴と原因、火災の種類ごとに対応できる消火器などについてご説明します。
目次
火災の種別をチェック!それぞれの特徴や原因
私たちの社会で起こる様々な火災は「どこで起きたか」によって、次の6つの種類に分けられています。
消防局等では、この6分類を「火災の種別」としています。
- ・建物火災
- ・林野火災
- ・車両火災
- ・船舶火災
- ・航空機火災
- ・その他の火災
消防局等が防災無線やWebサイトで火災情報を発信する際には、この6種類の火災の名称(〇〇火災)が使われます。
火災の種類ごとに特徴や主な原因をご説明します。
建物火災
建物火災とは、建物またはその収容物が焼損した火災です。
建物には、住宅、店舗、工場、事務所、飲食店、倉庫、百貨店、公共施設などが含まれます。
これらの建物の中に収容・保管されているものが収容物で、家具や商品の他、車庫に保管してある車も収容物になります。
例えば車庫内(建物内)で車が燃えた場合、この車は収容物となるので、この火災は「建物火災」となります。
建物火災の特徴のひとつが件数の多さで、全国で見ると全火災件数(6種類の火災の合計件数)の50%を超えており、神奈川県、横浜市で見ると60%を超えています。
住宅における火災が最も多く、建物火災の半数以上が住宅火災です。
また、建物火災の40%近くが木造建物で発生しています。
建物火災の出火原因としては、コンロの消し忘れ、たばこの不始末、放火によるものが多く見られます。
電気機器のショートや配線器具の過熱、ストーブに可燃物が接触することなども火災の原因となっています。
林野火災
林野火災とは、森林(下草含む)、原野または牧野(放牧場・牧草地)が焼損した火災です。
林野火災は一年中発生していますが、降水量が少なく、空気が乾燥し、強風が吹く3〜5月に特に多く発生しています。
林野火災の出火原因としては、たき火によるものが最も多く全体の30%余りを占めます。
次いで火入れ、放火(放火の疑い含む)となっています。
火入れとは、土地の利用上、その土地の上にある立木竹、草その他の堆積物等を面的に焼却することです。
車両火災
車両火災とは、自動車車両、鉄道車両、被けん引車、またはこれらの積載物が焼損した火災です。
積載物は、積み荷等を指します。
ごみ収集車のごみも積載物であり、積んだごみが燃えた場合は「車両火災」となります。
車両火災の出火原因には、排気管へのオイル等の漏洩、配線や電気機器のショート、放火(放火疑い含む)、タバコの火などがあります。
船舶火災
船舶火災とは、船舶またはその積載物が焼損した火災です。
船舶には、貨物船、客船、フェリー、釣り船、ヨット等が含まれます。
動力が付いていなくても「船舶」として扱います。
積載物は、積み荷等だけでなく、フェリーに積載されたトラックや乗用車等の車両も積載物となります。
積載された車両が燃えた場合、船舶自体は燃えなかったとしても「積載物の焼損」となり、船舶火災とされます。
出火原因には、配線や配線器具、電灯電話、発電機・蓄電池など電気が関わるものと、排気管によるもの等があります。
航空機火災
航空機火災とは、航空機およびその積載物、またはガス装置をつけた気球が焼損した火災です。
発生件数は年間に数件で、年間の損害額は数百万円~数億円と、発生した火災の規模によって損害額が大きく異なります。
なお、ドローンやラジコンヘリコプターのように人が乗り込まないものは、航空機火災にはなりません。
その他の火災
その他の火災とは、前述の5種類の火災に分類されなかった火災をひとまとめにしたものです。
具体的には、空地、田畑、休耕田、枯れ草、道路、河川敷、ごみ集積場、屋外物品集積所、軌道敷、電柱類、立て看板、自動販売機等の火災を「その他の火災」と呼んでいます。
消火器にも火災の種類が関係している!
消火器にも火災の種類が関係しており、それぞれの火災に適した消火器があります。
まずは火災の種類を見てみましょう。
火災の種類
火災の種類は「どのようなものが燃えているか」によって、次の3つに分けられます。
普通火災(A火災)
木材、紙、繊維製品等、ゴム、合成樹脂類が燃える火災
油火災(B火災)
灯油やガソリン等の石油類、天ぷら油等の油脂類が燃える火災
電気火災(C火災)
電気設備、電器器具、コンセントなど感電の恐れのある電気施設を含む火災
消火器の本体には、これら3種類のうちのどの火災に適しているのかが、絵表示と文字で示されています。
業務用の消火器では、絵表示と文字に加えて色表示もされており、普通火災:白、油火災:黄色、電気火災:青と色分けされています。
各火災に適応する消火器はどれ?
どの火災にどの消火器が適応しているのか、具体的に見ていきましょう。
まずは、消火器の種類を確認です。
消火器には、主に次の3タイプ5種類があります。
【消火器の種類】
- ・粉末系消火器:「粉末(ABC)消火器」
- ・水・泡系消火器:「水消火器」「強化液消火器」「泡消火器」
- ・ガス系消火器:「二酸化炭素消火器」
次に火災の種類ごとに適応する消火器と、どのような性質を利用して消火するか、消火しやすい燃焼物は何かを見ていきましょう。
普通火災(A火災)に適応
木製品、紙、繊維、ゴム、合成樹脂等、一般的な燃焼物の火災を消火します。
- ・粉末(ABC)消火器:素早く炎を抑制して消火する
- ・水消火器:燃焼物を冷やし、空気の供給を遮断して消火する
- ・強化液消火器:燃焼物を冷やし、空気の供給を遮断して消火する
- ・泡消火器:空気の供給を遮断して消火する
油火災(B火災)に適応
ガソリン、灯油、天ぷら油等の火災を消火します。
- ・粉末(ABC)消火器:特にガソリン等引火性油類をよく消火する
- ・強化液消火器:特に天ぷら油等油脂類をよく消火する
- ・泡消火器:特にガソリン等引火性油類をよく消化する
- ・二酸化炭素消火器:ガソリン、灯油、アルコール等は消火できるが、天ぷら油等油脂類は消火できない
電気火災(C火災)に適応
いずれもコンセントや電化製品等の火災を消火します。
- ・粉末(ABC)消火器:素早く炎を抑制して消火する
- ・水消火器(霧状放射のもの):燃焼物を冷やし、空気の供給を遮断して消火する
- ・強化液消火器(霧状放射のもの):燃焼物を冷やし、空気の供給を遮断して消火する
- ・二酸化炭素消火器:電気火災を特によく消火できる。空気の供給を遮断して消火する
こうして見ると、3種類の全てに対応した消火器は「粉末(ABC)消火器」と「強化液消火器(霧状放射のもの)」であることがわかります。
泡消火器は電気火災には適応しませんが、普通火災と油火災には適応します。
二酸化炭素消火器は、電気火災を非常によく消火できます。
使用する場所(リビング、台所など)や目的(何の火を消すか?)に合わせて、適材適所の消火器を選んで使いましょう。
火災が起こりやすいポイントもチェック
火災は一年中発生していますが、空気が乾燥していて強い風が吹きやすい2月から4月に最も多く発生しています。
これまでにご説明した「コンロ」「タバコ」「電気機器等」以外にも出火原因はあります。
日差しが部屋の奥まで届く冬場には、ペットボトル等で屈折した太陽光が一点に集中して起こる「収れん火災」にも注意が必要です。
正しい火の取り扱い、電気設備のこまめな手入れや正しい使い方、部屋の整理整頓を心がけることが火災の予防につながります。
また、住宅の周りに可燃物を放置しないことは、放火の予防など住宅防火にも役立ちます。
万が一の火災に備えて消火器を準備することもお忘れなく。
防災訓練で消火器の正しい使い方を練習しておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。
初期消火は炎が天井に達するまでです。
もし炎が天井に届いてしまったら、煙を吸わないように注意しながら躊躇なく避難し、消防へ119番通報してください。
【まとめ】火災の種類を知って、防火活動や消火器選びに活かそう!
火災は「どこで起きたか」によって次の6つの種類に分けられています(火災の種別)。
- ・建物火災
- ・林野火災
- ・車両火災
- ・船舶火災
- ・航空機火災
- ・その他の火災
この中で最も多く発生しているのが建物火災で、火災発生件数の半数以上が建物火災です。
また、「何が燃えたか」によって次の3種類に分けることもできます。
- ・普通火災(A火災)
- ・油火災(B火災)
- ・電気火災(C火災)
消火器が消せる火災の種類は、消火器本体に表示されています。
消火器を備える際には、消火器を使用する場所と目的(何の火を消すか?)に合わせて選びましょう。
火災が起こるポイントをあらかじめ確認しておくと、火災予防の対策を立てやすくなるのでおすすめです。
また、万が一の火災による経済的な損失をカバーするために、火災共済や火災保険に入っていると安心です。
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監修:横浜市民共済 普及推進課