協同組合について

「協同組合」とは暮らしの向上を目指す非営利組織のこと

「協同組合」とは、暮らしの向上を目指す人々が自主的に集まり、お金を出し合って事業を運営する非営利組織のことです。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という考えのもと、お互いに力を合わせて物事を行う=協同することによって成り立ちます。
利益ではなく、組合員の豊かな暮らしの実現を目的とします。

「協同組合」「株式会社」ちがい

  • ・暮らしをよりよくしたいという思いに賛同した人が、協同組合に出資して組合員になる

    ・協同組合は組合員の出資金を元手に運営を行う

    ・組合員は出資者であり利用者でもある(組合員にならないと利用できない)

    ・1人1票で運営に参加できる

    ・剰余金が出たら組合員に還元する、協同組合の事業や活動に活用する

    ・剰余金の還元、協同組合の事業や活動に参加することによって、組合員の暮らしの豊かさが向上する

  • ・自身に利益が出ることを期待した人が、株式会社に出資して株主になる

    ・株式会社は株主の出資金を元手に運営を行う

    ・株主は出資者だが利用者とは限らない(利用者は誰でもなりうる)

    ・1株1票で運営に参加できる

    ・利益が出たら社内の設備投資や社員へ還元し、一部は配当金として株主へ還元する

    ・配当金や株価によって株主は利益を得る

「協同組合」と「株式会社」のわかりやすい違いは、協同組合は非営利組織であること、株式会社は営利組織であることです。

協同組合は、組合員がよりよい暮らしを実現できることを目的としています。出資者・運営者・利用者すべてに当たる
組合員にできるだけ負担がかからないようサービスを提供し、安全な経営を行います。
協同組合の考えに基づいて作られた各種協同組合法を根拠法とし、組合員は1人1票として平等に運営に参加します。
剰余金の還元や協同組合の活動への参加によって、組合員の暮らしはよりよいものへと向上します。

対して株式会社は、企業の存続と株主への配当のためにより多くの利益を生み出すことを目的としています。
不特定多数の利用者に対してサービスを提供し、得た利益の一部を株主に還元します。
日本の法令である会社法に基づいて運営します。株主は1株1票として運営に参加するため、
株式の保有数によって議決権が変わります。
株主はサービスの利用者とは限りません。株主が利益を得る方法の1つとして株式の売却もあります。

出資者や利用者との関わり方は、協同組合と株式会社で大きく異なります。
助け合いの精神を基盤とする協同組合は、人と人との結びつきを大切にしています。



博士! 要点をまとめてみました!


  協同組合 株式会社
目的の違い 組合員の生活の向上、豊かな暮らしの実現 利潤の追求、株主への配当
根拠法の違い 各種協同組合法 会社法
運営主体の違い 組合員 株主
利用者の違い 組合員 特定なし
運営方法の違い 1人1票(平等) 1株1票(株式の保有によって議決権が変動)


ナイスじゃ! 一目瞭然じゃの

まさに「ONE TEAM」ですね

加入者が平等に力を合わせるからかの
利益を目的していない為、負担がかからないところが魅力じゃ~

協同組合は私にも家計にもやさしい…!

ここからは、
日本と世界の「協同組合」を紹介しよう!




  日本における協同組合

日本では、協同組合に約6,500万人が組合員として加入しています(2018年時点)。

協同組合の事業は共済や信用といった金融事業だけでなく、購買や旅行、福祉、医療などあらゆる分野におよんでいます。
人々の暮らしを豊かにする目的のもと、時代の移り変わりとともに変わっていくニーズに応えるよう、各協同組合はそれぞれに発展を遂げてきました。

協同組合間の連携は1956 年に発足した日本協同組合連絡協議会(JJC)によって推進されてきましたが、全国・都道府県・地域各段階における協同組合間の連携をさらに促進するため、平成30年4月1日に「日本協同組合連携機構(JCA)」が発足されました。
日本協同組合連携機構(JCA)は「持続可能な地域のよりよいくらし・仕事づくり」を目的として、一般社団法人JC総研を核として再編して誕生した、日本の協同組合の連携機構です。

近年では東日本大震災の後、被災地への派遣や迅速な共済金の支払い、被災地復興支援などといった様々な取り組みにより、協同組合の存在が再評価されています。


  世界における協同組合

日本に限らず、協同組合は世界的にも発展しています。 協同組合に関わる組織や取り組みについてご紹介します。

国際協同組合同盟(ICA)

国際協同組合同盟(International Co-operative Alliance、ICA)は、1895年にロンドンで設立された世界の協同組合の連合組織です。
2018年4月時点では世界107カ国の308団体が加盟しており、組合員の総数は12億人を超える規模になります。

1995年の100周年記念大会では「協同組合のアイデンティティに関するICA声明」が採択されました。
これはいわば協同組合の教科書のようなもので、協同組合が活動する上での7つの原則が記されています。
この7つの原則は世界共通のもので、世界中の協同組合がICAの声明にのっとって運営・活動しています。


国際協同組合年(IYC)

国連では、共通の重要テーマについて世界全体が呼びかけに取り組む「国際年」を設けています。
2009年12月、国連は「2012年を国際協同組合年(International Year of Co-operatives、IYC)とする」と宣言しました。
このことは、協同組合が「様々な経済部門の生計に貢献できる社会的事業である」と評価された証です。
貧困の削減、雇用の創出、社会的統合などの社会経済開発への貢献が期待され、世界中の協同組合で様々な取り組みが行われました。

国際協同組合年におけるスローガンは「Co-operative enterprises build a better world(協同組合がよりよい社会を築きます)」です。


持続可能な開発目標(SDGs)

2015年9月、国連は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択し、2016年から2030年までの国際目標として「持続可能な開発目標(SDGs)」を策定しました。
持続可能な世界を実現するため、SDGsは17のゴール(目標)と169のターゲット(具体目標)から構成されています。

ゴールの1つに「グローバル・パートナーシップの強化」があり、目標達成のために役割を担う一員として協同組合が明記されています。
協同組合が持続可能な社会づくりに貢献していることを、世界的にも広く認知されていることがわかります。


ユネスコの無形文化遺産への登録

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、2016年11月に「共通の利益の実現のために協同組合を組織するという思想と実践」を無形文化遺産に登録しました。

登録にあたり、ユネスコは協同組合を「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化や再生可能エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」としています。

世界的に展開されている協同組合の思想と実践が、人類にとって大切な財産であることが認められ、これを受け継ぎ発展させていくことが求められていると国際社会が評価したものといえます。